感覚する構造(法隆寺から宇宙まで)

WHAT MUSEUMで開催の「感覚する構造(法隆寺から宇宙まで)」へ。
展覧会はいつもは最終日とかになって混雑してしまうのだが、珍しく初日に行ったらやはりかなり空いていてよかった。天王洲にある建築模型を保管する寺田倉庫だが、WHAT MUSEUMとなってから行くのは初めてだろうか。同時に常設の模型倉庫を見るチケットもあったが、以前見たことがあるので今回はミュージアムの方だけで。

建築の構造デザインの世界を主に模型を通して紹介している。タイトルの通り法隆寺などの伝統的な木造の技術から始まり、近現代の木造建築デザインをたどり、ファッションの世界への影響や宇宙開発における構造デザインまで展開している。構造設計者それもチャレンジ精神旺盛な若手を紹介しているのもこれまでにない企画だと思う。

最初に圧倒されるのは法隆寺や東大寺を始めとする歴史的建築の木の模型。内部まで分かるほど大きくそれも木の模型で見る機会はなかなかない。勉強したことを思い出すように鑑賞してあらためて先人の知恵と技術に頭が下がる。

近現代では木の構造が線から面、面から三次曲面へと生成するものが変化してゆく様が感動的だ。三角形のトラスが連続するばかりではなく、材料の特性や接合部の開発によって木の構造でつくられるものの可能性は広がってゆく。

話題となっている大阪万博大屋根リングの一部模型はなかなかタイムリーな展示だった。伝統工法にヒントを得ながら現代技術の金物に工夫をしているわけだが、様々なスケールの模型があることが特徴だろう。ヒューマンスケールで見られる柱・桁の連続が巨大なリングの視点ではなんだか違うものに見えてくる。万博には一概に賛成できないけれども、見に行ってみたいと思わせるものだった。

自分自身は構造デザインを優先的に設計をするようなことはほとんどなく、ここで紹介された構造設計者との仕事もない。しかし突き詰めると発明的で未来を切り開くものにつながっていくものだし、社会問題や地域性などにも深く関わる意義深いものが多い。そしてなにより面白くてかっこいいのだから、どんどん影響受けて行きたいと思っている。

2024/04/29