自宅マンションにてDIYで家具をつくっている。主に本棚とテレビ台と周辺のもろもろ。本来は昨年11月の引越しに合わせて、あるいは入居後すみやかに完成する予定だったのにあっという間に半年も経ってしまった。家族のなかば呆れた視線が痛い。
以前から自分で様々な家具をつくってきた。本棚やちょっとした小棚やリビングテーブルなどを始め、前回の住まいでは中学生になる子どものために空間を仕切るクローゼットもつくった。事務所のテーブルや本棚もつくって、いくつかは既に役目を終えて廃棄されたものもちらほら出てくるくらいの量と時間を消費している。
学生の頃はデザイン的に凝ったり色をつけたものも作ったが、最近はもっぱらラワンのランバー合板を基材としてオイル塗装で仕上げるものに落ち着いてきた。自宅内装の天井や建具で使っている材料もラワンだし、フローリングとも見た目の相性がよい。さらには費用的に最も安価な材料なのと、シナとかに比べて木目がきつくロットによって色目にバラツキがあるのもむしろ気に入っている。
今回の目的はダンボールに入ったままロフトに避難している本やマンガを収納し見せるための家具だ。組み立て方はダボがメインで差し込む際にも接着剤は一切使わず、変更や解体が容易にできるようにしている。縦材と横材を接着剤なしでダボで繋いでも歪んでグラつくので、背板として有孔(穴あき)のラワンベニヤを貼り付けて面剛性を確保している。有孔のラワンベニヤは建具でも使っているが、空気を通す機能性と穴にフックを付けて色々なものを引っ掛けられる利便性が気に入って最近特に多用している。直径5mmの穴がビス止めするための穴としてちょうどよくて、ビスの存在をカモフラージュしてくれる。
それぞれの家具は40φの丸棒で4隅に脚をつくり約100mm浮かしている。これはLDKに鎮座するアイランドキッチンが100mm浮いていることに倣ったものだが、もう一つ大きな目的がある。それはルンバが通れる隙間をつくるということ。以前設計した住宅でお客さんから同じ条件をもらったこともあって、その時はルンバで決まる設計への抵抗があったものだが、今回は軽快なデザインということも相まってむしろ積極的な採用となった。
その他キッチン周りでは炊飯器を置くためのワゴンや、壁際の出隅入隅にフィットする小棚をつくっている。これらは棚板をラワンランバーでつくり、全ねじボルトを利用して可動や回転の機能を持たせている。ほとんど余った材料でつくった無骨なデザインだが、むしろそのくらいの存在感が落ち着くのではないだろうか。
今回は勢いで前から欲しかった丸ノコを購入して家具づくりに挑んだ。がしかし大きな音と舞い上がる粉塵で自宅での使用はあえなく断念。事務所まで材料を運んでカットなどの加工を行い、再度自宅に運んで組み立てるという工程だった。インパクトドライバーによる打撃音でさえも隣家からの苦情になってはまずいということで、ダボによる組み立てがメインになった理由はそういうところにもある。せっかく買った丸ノコだが、今後どれくらい使うのかはあやしいところだ。
本棚は横長のリビングスペースを仕切るものとして想定していたが、なんと家族からは狭くなると評判が悪い。幸い簡単に動かせるので色々と試行錯誤してみようと思う。兎にも角にも、ようやく一段落といったところ。
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