内藤廣展 in 渋谷

渋谷ストリームホールで開催されている「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」へ。
新南口改札から直結しているこの複合ビルは、飲食店エリアに立ち寄ったことはあるもののホールに来るのは初めて。周辺は半屋外の路地的な空間がビルに風穴を開けるように存在し、地上階では渋谷川にもつながって魅力的である。しかし以前と様変わりした渋谷駅はとにかく分かりにくく、一度改札を出てから地上を歩いてアクセスしようと思ったら大失敗。素直にサインに従っていれば良かったと思いつつ、そのうち馴染んでくるのか心配にもなる。

その渋谷駅の大開発計画にも中心的に関わる建築家が内藤廣さんである。都市計画の専門家といういうイメージはないが、色々な肩書を持ってマルチに活躍する大御所だ。今回は内藤さんの中に存在する「赤鬼」=情熱と「青鬼」=冷静という二面性が、それぞれの立場で作品を解説するという珍しいが楽しい企画の展示。内藤さん設計の島根県芸術文化センターで行われた展覧会の渋谷版回顧展のような位置づけで、島根と渋谷という対比的な街づくりという視点も見どころだ。

平日とはいえ会期終了直前だったこともあってかなり混み合っていた。さらに会場4〜6階のそれぞれでの展示量とその中身が濃密なため、夕方から20時の閉館まで居つめることになった。
展示は内藤さんの卒業設計や初期の作品で始まるが、学生時代に注目した「ギャラリートム」や実作を見に訪れた「海の博物館」では懐かしさも相まって足が止まる。「ちひろ美術館」や「牧野富太郎記念館」にもはるばる見に行ったのでよく覚えている。赤鬼と青鬼による対話形式の解説は率直な思いや裏話などもあって、興味深く読み込んでしまう。

どうしても観に行きたい「島根県芸術文化センター」やそれ以降の作品はあまりチェックできていないこともあって、これまたじっくり鑑賞。公共施設の中でも駅舎やホールなどの設計がいくつかあって、大スパンが要求される計画で内藤さんの合理的で美しい架構のデザインが光る。木と鉄とプレキャストという素材の扱いも本当にうまい。なんて評価するのもおこがましいな。

全体的には各プロジェクトで模型や図面は見せるものの、写真は小さいモノクロが数枚のみ。赤鬼と青鬼の丁々発止がメインとなっている。
最終エリアの島根と渋谷の計画を1/20の白模型で併置した展示はさすがの迫力だった。この2つの地域の持つ背景の違いもそうだし、建築家以外でも、教授、審査委員、街づくり、デザイン、土木、といった様々なフィールドで要職について、いったい頭の中はどうなっているのだろう。
実務に追われて余裕のない自らを省みて落ち込むことになってしまった。まずは内藤さんの本でも読もう。

2025/08/31