酷暑の中2週続けて比較的近所の建築家オープンハウスへ。
川島範久さん設計の「西落合のスモールオフィス」は施主が環境制御システムの会社で、その理念が実現された技術棟とのこと。設備設計はARUPで、実験的に室内環境を計測しながらエネルギー制御するシステムが組み込まれている。
プランニングはロの字型として中央の執務スペースの外周を諸機能が取り囲む形で逆コア型とでも呼べるだろうか。その外周部がバッファーゾーンとなり、最低限の開口部で熱負荷や通風の調整が容易になっている。中央と周囲はぐるりと一周を走る引戸によって仕切られ、空間的なつながりの変化を楽しみながら優れた環境装置にもなっている。
RC躯体の外周には鉄骨で外壁の下地をつくって熱橋を防ぎ、外断熱の一体パネルは露出にするなど潔さもあって分かりやすい。2階の外周部には炭や堆肥を積層した雨水浄化システムに植栽を組み込んで、積極的に自然環境を建築に取り込んでもいる。
良い意味で見どころてんこ盛りの印象だが、どこを優先するというわけではなく施主も含めた各担当チームがそれぞれのパートで力を発揮しているのだろう。それをまとめきる力もすごい。普段の自分の設計では頭がまわらないようなところ、特に環境や自然とのつながりや制御についての検証と配慮はチームとしてのパワーを痛感する。
もう一軒は徳山史典さんの自邸。すでにお住まいのところをお邪魔した形だが、清々しくて元気をもらえる住宅だった。条件から導き出されたボリュームの中で最大限何ができるかを考え、スキップフロアで家全体がつながっている。間仕切りがほとんどなく床は梁から吊って極力柱をなくしているから、空間的にも上から下まで一体の空間だ。それを象徴するように空調は大きな容量のエアコン1台ですべてをまかない、露出したダクトでそれぞれの場所に吹出口を設けて空気を届けている。そのダクトを家の特徴として積極的にデザインしながら見せていて、結露水はプランターの水やりを兼ねるといった割切りも好印象だ。
閉じた収納やクローゼットがないので、オープンな棚に置かれるモノによって一体の空間の中にこちらとあちらを作り出し密度が変わる。外断熱で木造躯体を現しとして、サッシは枠を付けないで納めてカーテンレールも梁に隠れるようにしている。サッシがスッキリ見えるから外部とのつながりも強く意識できて隣の公園など外部の見え方も気持ちよかった。家具や階段の仕上げがラワン合板だったのも個人的に好みで、色々なディテールが参考になる。
それにしても「自邸」というだけで様々な覚悟と思いが交錯したことだろう。お子さんが家中を動き回って楽しそうで、きっと家族と一緒に成長していくような家になるだろうと想像する。
それぞれ用途も見どころも全く違う建築だった。久しぶりだったがやはりものができる瞬間の肌感覚を定期的に体験することは大事である。
Copyright (c) MIZUISHI Architect Atelier All Rights Reserved.