新国立競技場で観戦

新しくなった国立競技場でサッカーを観戦。
言わずもがな、オリンピック開催を契機に様々な紆余曲折を経て隈研吾氏他の設計で建て替えられた巨大なスタジアム。外からは眺めていたものの、中に入って観戦をするのは初めてだった。

FC東京のホームゲームとして行われた試合はあいにくの大雨で、もしかして中止もあり得るかと思ったら杞憂だった。大きく張り出した屋根(木造とは言えない)がほとんどの客席を覆っているので雨に濡れることはほぼない。グラウンドの状態も水はけが良いらしく、ボールが止まったりスリップすることもない。もちろん選手の方は濡れて大変だろうけど、観ている方は雨が降っていることも忘れるくらいだ。
また、客席とピッチの距離が遠くスタンドの傾斜が緩やかで見づらいという噂が多く、自分の目で見て体感してみたいと言う思いは強かった。しかしこれも心配していたほどではなく、上階へ行くほど急傾斜になる3層のスタンドがグランドを覆うような印象で、普段味の素スタジアムの緩い勾配に慣れてしまっているとむしろ見やすいとさえ感じてしまった。2層目のちょうど真ん中あたりで観たのだが、そもそも外から見たときの巨大な印象が内側からはコンパクトに感じた程だった。

良くないのは客席とそれを取り巻くコンコース、外周テラスはほとんど壁で仕切られていること。コンコースへ出て飲食の売り場へ向かおうとも、どこから抜けてテラスまでアクセスするのか分からず右往左往することになった。このスタジアムの特徴であるテラス植栽など緑の存在も客席はもとより客席側からは全く感じられず残念だった。情報の庭と名付けられた休憩コーナーも味気なく、自由に曲がるLED照明だけが印象的なのはなんだか隈研吾さんらしくはあるだろうか。
庇の軒裏に貼られたルーバーの木材はとてもよかったが、やはりダミーと本物が入り交じる様子は同時に気持ち悪さも感じてしまう。何年後かの経年変化の差も含めて、全体としてどのような遺産になっていくのか、興味深くはある建築でした。

2022/05/30