新年あけましておめでとうございます。
ちょうど一年前の年初挨拶では能登の地震や世界の戦争に触れていて「おめでとう」という気分じゃないと書いていた。今年はそうじゃないのかというと相変わらず能登の窮状と酷い戦争は続いていて、それらを思い出すとなんとも暗く憂鬱な気持ちになることに変わりはない。しかしぼくらは自分たちの近しいところでの幸せを追求し、近しいところで明るく楽しい暮らしが続けばそれでいいのだろうか。深く考えさせられる年末年始となった。
昨年は個人的に様々な新しい経験をした年であった。
まずは自分の住まいを持ったこと。銀行の融資を受けて物件を購入し、設計者以外に施主や施工者という立場にもなって内装工事を行った。
そして知人の声掛けで集合住宅プロジェクトを担当したこと。今までにない規模・用途の建築設計に関わった。施主も法人なら設計の協力体制の在り方も新鮮で、ようやく着工したのだがそれまでに至る手続きも初めてのことが多かった。
初旬に竣工したRC3階建ての動物病院も、条件の厳しい中での単独の規模としては新しい経験だった。カフェを併設したり、隣接するテナントでつくった保護猫室も、病院機能が拡張されるような将来的な期待が持てる。
年賀状で使った「巳」の干支文字は単純で、そのまま建築要素で使うのは能がないので複数を組み合わせようと考えた。12年前の「巳」も立面の窓の他、街の中にたくさん散りばめて「巳」を探せみたいな構成だったが、今回は平面で。同じ平面で高さの違う12個のボリュームを向きを変えて散りばめる。単純だが対称性がなく方向性を持った文字なので、いかに向き合わないバラバラ感を演出するかに苦心。模型をつくるよりもアングルの決定に時間が掛かったが、実際にこんなプロジェクトがあったらいいなと思わせる絵になった。
所感では前述の憂鬱な気持ちとは裏腹に明るい未来を願う言葉を書いた。長く続いた政治の一強支配はまさに近しい人だけを優先したものではなかったか。そこに風穴を開けられた今、やはり社会はより広くたくさんの人が幸せであるべきだと再認識することを期待し、自覚したいと思います。
今年もよろしくお願いします。
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