安藤忠雄展・挑戦

国立新美術館の安藤忠雄展・挑戦へ。平日にも関わらずものすごく混んでいた。特徴的なのは普段建築にはあまり関係のないとおぼしき御高齢の方や小中学生ぐらいの子まで、幅広い年齢層の人が多いことだ。分かりやすい言葉が大衆に響く安藤さんならではだろう。
安藤忠雄といえばぼくが学生時代にピークでイケていた建築家だ。とにかく流行っていた。つくるものも言説も生き方も、かっこよくてしびれて建築巡りをしたり真似したりしてみたものだ。もちろん今イケていないわけではないけど注目してないのは確かで、そういう目で眺めるとやはり夢中だった昔の作品が懐かしく思い出されるという展覧会だった。
それにしても当時の「これはすごかった」作品のなんと多いこと。そしてそれらが色あせずに「今もすごい」ことには驚かされた。あのときの衝撃が時間を経て、例えば一般化されたり見慣れるものになっているのではなくて、今また衝撃を受けたような気がする。学生時代とは違って(一応は)同じ建築家という立場なので、勝手に自分と比べて圧倒的にスケールが違うことへの衝撃かもしれない。とにかく彼の仕事を数時間で一気に経験した気分になって、精神的に打ちのめされたことは確かだ。
安藤さんの作品はたくさん見に行ったが、その中でも今回目玉の実寸「光の教会」は学生時代に一人で見に行ってよく覚えている。この教会がある大阪府茨木市は僕が幼少期を過ごした思い出の地だ。これをなにかの縁と思って、この展覧会から大いに勇気をもらうことにする。打ちのめされている場合ではない。

2017/12/06