建築の日本展・その遺伝子のもたらすもの

六本木の森美術館で開催している「建築の日本展・その遺伝子のもたらすもの」へ。膨大なアーカイブによる展示は建築関係者にとっては特に必見の展覧会で、会期末直前だと大混雑間違いなしなので10日前くらいの平日に行ってきた。こういう展覧会は最近特に外国人の来館者を多く目にするんだけど、この日も旅行者や学生が多かったように思う。

ぼくは展覧会というとものすごく時間を掛けて見てしまうたちで、結局4時間くらいいたと思う。しかしものすごい情報量を目の当たりにして疲れて感じたのはなぜかしっくりこない違和感。9つのテーマに分けて日本の建築やあるいは日本の建築に関係があるものをカテゴライズしているのだが、ちょっと強引すぎるものが多い。その度にこのコーナーのテーマは何だっただろうかと見返してしまった。歴史的世界的に評価された有名建築の隣に「なぜこれが?」というようなプロジェクトが並んでいる。ほんとにそんなカテゴライズでつなげてしまっていいのかと解説を読みこんでも解消されなかったり・・・。どれもこれも日本の建築の「遺伝子」と言えるようなものなんだろうか。もちろん、そういうカテゴライズをする「試み」の展覧会だということでもあるとは思う。しかしことさらに日本的みたいなことを強調すると、その作品の価値を下げることもあるからたちが悪い。

この展覧会で思い出すのは最近の「日本すごい」ブームである。海外から見ると日本のこんなところがすごい、というメディアトピックの多いこと。特に日本人のどなたかが個人ですばらしいことを、ことさら日本人特有にすり替えるような風潮は違和感ありまくる。大坂なおみの行動は奥ゆかしくて日本人らしい、とか図々しくてよく言えるもんだと感心するくらい。なんだかそういう図々しさをこの展覧会で感じてしまったわけである。

そういえばこの展覧会、どうして「建築の日本」展という名前なんだろう?「日本の建築」じゃなくて「建築の日本」??ちょっと日本語としておかしい。「建築」の中の「日本」の位置づけ、みたいな意味だろうか?だったらそういう名前にすればいいんだけど。そういうところにもなんだかいやらしさが見えてしまった・・・。考えすぎ?
あでも丹下健三自邸の1/3模型はすごかった。30分くらい見てただろうか。感覚的で申し訳ないけど、すごくかっこよかった。もちろん日本的でという意味ではなくて。

2018/09/17