アンサンブル・スタジオ展「Architecture of The Earth」

TOTOギャラリー間で開催中の「アンサンブル・スタジオ展」へ。
「Architecture of The Earth」というタイトルが示すとおり、地球と対話をするような圧倒的な造形が特徴のスペイン出身の建築家。空洞のある岩を自ら作り出してその中に住まうという建築があって、荒々しさと潔さとそのアイデアにしびれた記憶がある。

会場に入るとなにやら廃材のようなカタマリが、中央にバラバラと浮いていたり荒々しい石台(実は発泡スチロール)の上に置かれたりと、およそ建築の展覧会でイメージする写真や模型、ましてや図面の類いはどこにも見られなくてたじろぐ。その鈍い色のカタマリはスタディ模型やイメージ模型のようなものかと想像したが、各コーナーで流れるモニタを見ていくと工法や素材や形にいたるまで、スケールを飛び越えた建築そのものなのであることが分かってくる。

地球の一部が型枠となってコンクリートを流し込み鉄筋状のもので補強する。一見荒っぽい実験にも見え、絶妙なバランスと危うさで成立している作品などは大きな彫刻のようにも感じるが、そのままスケールアップして人と関わるのは紛れもなく建築なのであった。
飛躍的に進歩するBIMや3Dプリンタという造形技術と比べてどういう位置づけになるだろう?重力や水の流れといった自然の摂理に抗うまがまがしい「不自然な」建築とは全く逆のアプローチなのではないか。ある意味とても「自然な」つくり方であり存在なのである。

どこまで厳密な構造計算とやっているのか?法規的にはどういう扱いなんだろうか?野暮な疑問も頭をよぎるが、とにかくその力強さに圧倒された「建築」だった。

2021/06/29