ようやく足場と養生が外れて全貌があらわになった。なかなか壮観である。
黒い縦ハゼ板金で仕上げた斜め屋根をまとったボリュームと、モルタルで仕上げた2つのグレーの箱型ボリュームが、角度を付けて交っている。2つの色に挟まれた白い外壁と合わさって3種類の外壁となっているが、見る位置によって全く違う表情を見せている。
板金は職人さんが折って張り上げているので、手仕事感が残って味わい深い。モルタルは当初予定していた素地のままというのは断念して樹脂製の左官材で仕上げてもらったのだが、こちらも素材感は残せたようでよかった。白と黒は結構すんなり決まったのに比べると、その間のグレーの色合いにはかなり迷ったがちょうどよい感じかな。
あとはこのボリュームを持ち上げてピロティー状になっている駐車スペースも素敵な感じになった。軒天井にはレッドシダーの板を張り上げたのだが、予算的に厳しい中こだわって残した甲斐があったと思う。準耐火の被覆をした上に貼るわけだから無駄といえばそうなのだけど、どうしても無機質な街並みになってしまう中に温かみのある場所をつくることができている。
内部もラストスパートの内装、家具、建具の工事が進んでいて一気に仕上がってきた。屋上にもいろんな場所をつくることができて楽しそうだがデッキ張りは間に合うだろうか。工期を延ばしてもらったのにそれでもギリギリとなってしまい、最後までハラハラする現場ではある。
外構では駐車場のコンクリート打設や歩道切下げと舗装補修まで、まだまだやることが残っている。引渡し日が近づきクラクラしながら、そして工務店と職人さんが一番大変だとは思いつつ、出来上がっていくのを楽しむ設計者なのだった。
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