田園調布の住宅の一年検査へ。一年を少し過ぎてはいたが、以前撮影でお邪魔しているので7ヶ月ぶりくらいの訪問になる。すべての季節を一周して暑さ寒さを体験しての住み心地を伺う大切な機会だ。と言いつつ兎にも角にもお客さんが気に入ってくれているかというシンプルなことを確かめるドキドキする瞬間なのである。
口頭で聞く限りは特段不便はしておらず快適に住まわれているとのことで一安心。掃除などしてくださったからかもしれないがそれほど生活感が出てきているわけでもなく各所整理されている印象。子どもたちの部屋で少しわんぱくぶりが見えたりするのは微笑ましい。床や天井で採用した無垢の材料を当時を振り返り「これにして良かった」と感想をいただくのはとてもうれしいことである。暑さ寒さでは懸念した吹抜もそれほど悪さをせず、2階にある2台のエアコンも1台で事足りているようだ。
階段周りやリビングの一部で壁クロスの隙間が空いてきたところがあって、この際一度処置することに。変形したボリュームと、間口が広く距離が飛んでいる部材で建物に動きがあることは元々予想できた。しかしこのくらいの隙間で済んでいるならむしろよかった方だと思う。そのような理由である程度覚悟していた外壁の左官仕上部分はほとんどクラックなど発生しておらず良い状態だった。屋上のデッキはやはり過酷な条件下ですでに色褪せてはいるが、味が出ていい感じでなじんでいる。
撮影のときに観葉植物を持ち込んだところ、やはり緑があるのは素敵ですねと仰っていた。今回緑が置かれているかなとちょっと期待していたが実現されておらずちょっと残念。敷地いっぱいに建つため庭がなく、その分テラスや屋上にはプランタでも置いて内外から見えると随分印象が違ってくると思うのだが。しつこいくらいに緑をオススメして現場をあとにしたのだった。
末永く愛される家であって欲しい。
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