自邸マンションのDIY塗装

前回に引き続き、自邸マンション改修の話。
先日めでたく引越が終わったところではあるが、そこにいたるまでの過程は筆舌に尽くしがたいものだった。お願いした工事自体は予定より少し遅れたもののほぼ順調で、その後に乗り込んだDIY塗装がとにかく大変だった。塗ったのは主に壁面のしっくい塗料と天井ラワンのオイル塗装。甘く見ていたわけじゃないが、塗装屋さんへのリスペクトがダダ上がりとはこのことだ。専門家としてずっとそばで見てきて、分かっている気になっていた反動かもしれない。

まずは塗装する前の準備。塗料や道具を購入することに始まり、足場、養生、マスキング、コーキング、下地処理、などなど実際に塗るまでにやることの多いこと。塗装したときに汚れたら困るところやはみ出したらまずいところを予測しながらガードをしていく作業は、結構頭を使ってそれだけでかなり疲れるのだ。特に今回はしっくいと木部に加えて一部モルタル塗りの壁もあって、どっちを先に塗るかとか隙間の処理をどうするかとか、その取り合いの判断が難しい。マスキングテープひとつ取っても粘着力に様々な種類があることを実は初めて知った。

そして思っていたよりも塗装面積・部分の大きいこと。壁と天井以外にも、建具や枠や収納の中などなど、何度「ここもか」と思ったことか。予定していた塗料では足りず、急いで追加注文しても間に合わなくて貴重な作業時間をロスしたこともあった。収納の中とか物を置いて隠れる所とか、だれも見ないだろってところをどこまで丁寧にやるかはなかなか難しい判断である。しかし今までの現場で「ここは隠れるから汚くてもいいでしょ」なんて指示はしたことないし、そんな塗装屋さんがいた試しもない。

あとはとにかく実際の塗装作業の奥深さよ。2回塗ることが基本だが、どうしてもムラが出てしまって3回塗ったところもあったり、逆に見えないからと言って1回で済ませたところもある。ローラーは思ったより押し込む力が必要だし、天井などの上向きの塗装は首やら腕がとにかく疲れる。そしてなによりこの作業を日々の仕事の合間に通ってこなすという、体力的・精神的な追い込れっぷりはかなりのものだった。

巻き込んだにも関わらず自分事として協力してくれた妻には感謝しかないが、二人で何度か諦めた経緯もある。実は引越してからも塗装する覚悟でどこを残すか真剣に考えていたほどだ。ちなみに高校生の息子の手伝いはほんのちょっとだけ。
工務店の監督にも材料や道具などで大変お世話になった。足場や作業ライトがないとどうしようもなかったのは後々気付いたことだった。たぶん、こんな大変なことよくやるわ、と思っていたに違いない。

なんとかギリギリで仕上げたときは嬉しいというよりホッとしたというのが正直な所。しかし仕上げには満足しているし、とにかく家というか自分が仕上げたものへの愛着は大きい。遅ればせかもしれないがよい経験にもなった。覚悟と時間がある住まい手には是非おすすめしよう。
竣工写真は自分で撮影したので、そのうちWORKSの事例としてアップする予定です。

2024/11/30